ガスが流れて秋色の山
2023年10月15日(日)1日目
秋江ひろみガイドと上野ひろみの「Wひろみ」と岡田の女性3名のスタッフで那須連山縦走へ。
初日は那須ロープウェイ(以下、RW)を利用して、茶臼岳へ。
RWの乗り場に着くとサイレンを鳴らした救急車両が何台も到着。物々しい様子です。チケット売り場のスタッフからは、「先日も事故がありました。気を付けて行ってください」と声をかけられました。
あいにく今日は雨予報。バスの中でも防寒対策に対するアドバイスや防水手袋の紹介などさせていただきました。1390mの山麓駅から高度差360mを4分で1690m山頂駅へ。スタートして少し登ると、転倒したと思われる男性とすれ違いました。頭部から出血があり、3名に付き添われていました。下のサイレンの意味を知り、気を引き締め先へ進みます。
RWからはガスで視界が無かったのですが、しばらくするとガスが薄くなりました。山肌は、パッチワークのように緑の笹に赤やオレンジ色がきれいです。思っていたより風も弱く、雨も本降りになることはありませんでした。
茶臼岳の山頂には那須岳神社。これからの安全登山を祈願しました。峰の茶屋避難小屋は日曜日とあって少し混雑していましたが、譲り合って一休み。那須岳避難小屋を経て樹林帯の登山道。延命水を一口飲んで沼原分岐。
今日の宿泊地三斗小屋温泉まで20分。標高1480mにある三斗小屋温泉。趣のあるお宿と、時間で男女入れ替えになる二つの温泉を楽しみました。夕食と朝食は台付きのお膳が各部屋に運ばれてきます。
気になるのが明日の天気。ここは電波が入らず、秋江ガイドは小屋の方や、偶然同宿した現地ガイドさんとも情報共有。スタッフ3人で予定コースが行けない場合、どのコースで下山するか等々、色々な場面を想定して協議しました。夜半から風が強く、窓ガラスをたたく風音が朝まで続きました。
10月16日(月)2日目
朝起きると遠くの山が見えたのもつかの間、すっかりガスの中。そして予報に反して雨が・・・稜線は15m~20mの風との事で、現地ガイドさんのパーティーはそのまま下山との事。私たちは温泉神社と源泉地を訪ねてから下山することにして小屋をスタート。温泉神社に参拝。
源泉地に着く頃には雨も上がり、稜線の木々もさほど揺れていません。今回のスタッフ三人ともガイド資格者、再度三人で協議した結果、「行けるね」。予定コースを進む判断をしました。それを後押しするかのように天気は回復、青空となりました。
熊見曽根の頭から朝日岳は10mを越える風。耐風姿勢や強風時の歩き方をお伝えしました。分岐にザックをデポして山頂へ。遭難現場にはお花が手向けられており、心の中でご冥福をお祈りしました。
登山道の脇となってしまいましたが、風が避けられる場所を探して休憩。清水平を経て三本槍岳を目指します。「三本槍岳」という名の由来は、昔この山頂の領地がはっきりしないため、会津藩、白河藩、黒羽藩の3藩が領地を確認するため定期的に集まって槍を立てた故事によるとの事。「槍」と名が付くと北アルプスの槍ヶ岳のような山容を思い浮かべる方が多いと思いますが、三本槍岳は、たおやかな山です。北温泉分岐から三本槍をピストン。
小石を覆う金網の登山道に注意しながら、マウントジーンズスキー場の山頂駅へ。山頂駅向かう森は、5月中旬〜6月上旬はゴヨウツツジ(別名シロヤシオツツジ)が咲き誇り、花のトンネルとなります。
同じ山に何度登っても、新緑・花・そして紅葉とその都度様々な表情を見せてくれます。個人の車で来ると同じ所に戻らなければなりませんが、ツアーだと縦走が可能。まいたびで初めて添乗したのは、すぐ近くの赤面山でした。ツアーは自分で運転しなくていいし、帰りは温泉に連れて行ってくれる。らくちんと思いました(笑)
今回は源泉那須山温泉に立ち寄りさっぱり。2日目の朝の雨には下山も仕方ないかとテンションも下がりましたが急速に回復。予定通りのコースを歩くことができました。短い時間とはいえ強風にも苦労しましたが、錦秋の山と温泉を楽しんだ山旅でした。
~今回目指した那須朝日岳で4名の方々が亡くなった10月初旬の遭難事故は、別の山旅の添乗中に知りました。そのツアーでも今回も皆様無事に下山されたことに感謝しつつ、改めて亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。~
【写真・文 上野ひろみ】
日本山岳ガイド協会 登山ガイドステージ1
信州登山案内人
【写真 岡田裕美子】
日本山岳ガイド協会 登山ガイドステージ2
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