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まいたびブログ

毎日新聞旅行(東京)「まいたび®」公式ブログです。
国内・海外登山、講師同行「風来人」などツアーの添乗記やトピックス、「旅」の素晴らしさをご紹介するなかで、
旅を楽しむ心がふんわり広がっていく、そんなことを夢見ています。

安心安全富士登山教室2025 ステップ2(大野山)

2025年4月16日

JR御殿場線の谷峨駅(神奈川県山北町)は、山間の無人駅だ。町の統計書によると、2021年の1日平均乗車人数は82人に過ぎない。駅前には店舗もなく、バス停があるだけだ。しかし、この駅がにぎわう日がある。休日は、登山客が大挙して押し寄せるのだ。

 25年4月12日の土曜日は、東海道線方面からの電車が到着するたびに、ザックを背負った男女が降り立った。多くの登山者が目指すのは、大野山(723m)だ。駅からもススキにおおわれた山頂が見える。「まいたび(毎日新聞旅行)」の初心者向け講座「安心安全富士登山教室」ステップ2の参加者34人も集まっていた。
石井啓太、渡辺四季穂の両登山ガイドが「おはようございます」と声をかけた。参加者は今夏の富士山登頂を目指し、3月のステップ1から登山を始めた。靴もザックも真新しい。石井ガイドがストックの使い方などを話し、服装についても触れた。「歩き始めの時は少し肌寒いくらいがいいです。歩き始めるとすぐに暑くなります」。

モザイク処理.jpg                   満開の花々の下を歩く渡辺ガイド

午前11時ごろ、駅を出立した。しばらくはアスファルトの道を歩き、登山口に到達した。休憩の後、山道に入った。山桜やスミレが咲き、ヘビが釜首をもたげたようなマムシグサの姿もあった。ストックを使う人もいる。石井ガイドは「(ストックを持つ)手は心臓より上に行かないように。ひじは常に90度(の角度)で」と話した。登山道は急斜面にかかり、ススキの間を歩くようになった。箱根方面の山々が視界に入ってきた。「今日の富士山は裾(すそ)しか見えませんね」と石井ガイドは残念そうだ。

ウサギのお出迎え。左は石井ガイド.jpg                 ウサギのお出迎え。左は石井ガイド

 午後1時半、広々とした大野山山頂に到着した。北方に目をやると、丹沢の山々や湖が目に入った。雄大な景色だ。それぞれが昼食をとり、同2時過ぎに再び集合した。渡辺ガイドが「下山時にはストックは少し長めに」と声をかけた。帰路は来た道を引き返す。ペットボトルをザックから落とした人がいた。渡辺ガイドは「ペットボトルはキャップの方を下にして差し込んでください」と伝えた。「でも、ペットボトルは外付けせずにザックの中にしまってくださいね。落としますから」と付け加えた。高低差のある階段などの下り方について「ドスンと下りずにそーっと着地してください」「できるだけ段差の少ないところを選んで」「足裏全体で下りてゆく」と声をかけ続けた。

大野山山頂.jpg                       大野山山頂

登山道にはスミレの花が咲いていた.jpg                  登山道にはスミレの花が咲いていた

 午後4時20分、一行は谷峨駅に戻ってきた。女性は「何とか登れました」と安心した様子だった。男性は「富士山に登れるか、不安です」と率直に語ってくれた。筆者は毎年富士山に登っている。富士山に登るコツは「必ず登る」と決意して、準備することだ。「大丈夫です。一緒に登りましょう」と声をかけさせていただいた。

谷峨駅前から遠望できる大野山山頂.jpg                 谷峨駅前から遠望できる大野山山頂

モザイク処理1.jpg                   登山者でにぎわう谷峨駅前

【毎日新聞元編集委員、日本山岳ガイド協会認定登山ガイドステージⅡ・小野博宣】
●筆者プロフィール●
 1985年毎日新聞社入社、東京社会部、宇都宮支局長、生活報道部長、東京本社編集委員、東京本社広告局長、大阪本社営業本部長などを歴任。
2014年に公益社団法人日本山岳ガイド協会認定登山ガイドステージⅡの資格を取得。毎日新聞社の山岳部「毎日ハイキングクラブ」前会長